CreateLife

-生き方を創造するBLOG-

アプリばかり作ってきた私がIoTをビジネスにする方法を学んだ話

この5年間、スマートフォンのアプリばかり作ってきた私が最近考えていること。

 

それは、小資本のベンチャー企業がアプリ(特にBtoC)だけでビジネスを組み立てられるバブル時代は終わったということ。(この業界に身を置いている方であれば少なからず共通認識はお持ちかと思います)

 

 

アプリやWEBだけで事業を考えようとすると、すでに同じようなアイデアがAppstoreに存在していたり、WEBサービスググるとだいたい存在していることが

ほとんどで、基本的にはそれら先行者との差別化を図ることが非常に困難になります。

 

 

当然ですが、アプリ・WEB完結型サービスはアイデアとプログラムさえできれば、比較的参入が容易にできるため、すぐにレッドオーシャン化してしまいます。

 

 

一つヒットアプリがでるとすぐに模倣アプリが量産され、収益がすぐに落ちてしまいます。かつユーザーさんがアプリに飽きるタイミングもより早くなっていてLTV(顧客生涯価値)もかなり下がってきているという体感もあります。

 

 

つまりビジネスのストック化が非常に難しくなっているということです。

 

 

そんな変化の激しいアプリ業界に身を置いている私が新しい事業を構築しようと日々模索している中で、バズワードの一つとして上がってくるのがこれ。

 

 

『IoT( Internet of Things)』です。

  

 

だけど、いつも『IoT』と聞いて思うこと。

 

 

「IoTってどう儲けるの?」という話。

 

  

モノを作って、その販売利益で儲ける?

 

 

・・・

 

 

それって厳しくない?

 

 

ビジネス的な拡大って見込めるの?

 

 

投資リスクばかりに目が行き、先の展開が見えていない感じ。

これではアイデアが思いついても、投資しようとはならない。

 

 

そんな狭い了見しか持ち合わせていなかった私がとある勉強会に行き、『IoT』のビジネスモデルを学んだ話です。

 

 

これは『IoT』に限らず、昨今のビジネスモデル全般で活かせる考え方かと思います。

 

 

まず『IoT』でビジネスをやろうとすると、みんなこう考えると思います。

 

 例えば、

 

「耳栓型の体温計を開発して、それをネットに接続、健康状態をスマホアプリで管理できるようにしたら便利ではないか。それを既存の体温計より価格を上げて売ってみたらどうか。」

 

 

仮にこの考え方で、プロダクトイノベーションが生まれ爆発的なヒット作が誕生したとしましょう。

 

 

プロダクトイノベーションのみでプロダクトはヒットした当初はそれなりに売れたとしても、すぐに他社がこぞって資本を投入し、模造品を作り参入を図ります。

 

 

そうすると単純にモノ自体の差別化しかないため、すぐに値下げ競争が発生し、コモディティ化、あっという間に本家の売り上げも下がり、場合によっては2番手、3番手がクオリティを上げてきた場合、追い越されてしまうという現象が発生します。

 

 

これでは継続的にビジネスを行うことがしづらくなりますよね。

 

 

これがまず第一の壁となります。

 

 

そこで急務となるのが、ビジネスモデルの構築です。

 

 

例えば、顧客のスイッチングコストを高める施策を打ったり、データを販売するなどといったことを展開していくことです。

 

  

では具体的にどうするのか?

 

 

『IoT』を継続的ビジネスに昇華させるための一つの考え方をフェーズ①〜⑥までまとめてみました。

 

 

フェーズ①ワンタイム課金

センサー内蔵のプロダクト・または多目的型センサーをワンタイム課金(売り切り)で販売する。

 

 

フェーズ②サービスフリーミアム

センサーを通じた無料及びプレミアムのサービスを提供する

 

 

フェーズ③サービスインストールベース

物理的プロダクトは無料または安価で、センサーを通じたサービスで利益を得る(ジレットモデル)

 

 

フェーズ④パッケージ化されたデータ販売

センサーを通じた収集された価値のあるデータまたはノウハウを販売する

 

 

フェーズ⑤収益シェア/パフォーマンスベース

利用者のプロセスまたはリソースの最適化によって得られた利益または削減できたコストの一部を得る

 

 

フェーズ⑥マルチサイドエコシステム

性格の異なる複数の顧客からの多様な収益の流れによって利益を得る

 

  

これらを具体例にして考えてみます。

 

 

フェーズ①:スマート体温計の販売→既存の体温計にネット接続機能を付加。

 

 

フェーズ②:ユーザーデータを収集することで、ユーザーがどういう状態の時に何をすべきか自動で医者の代わりに教えてくれるサービスを提供。

 

 

フェーズ③:体温計を無料または安価で配り、プログラムに参加している人々のデータを貯める。コミュニティ(学校など)単位で健康状態が可視化される。個人がそれらのデータを参照し、判断要素を得ることができる。データを公的機関に販売するなど。

 

実はフェーズ3までがスマート体温計Kinsa Smart Thermometerが実際に展開してきた事例です。

 

 

ここからは想像の世界です。

 

 

フェーズ④:より広範囲にわたるエコシステムの生成。エリア毎の健康状態の可視化。ex.横浜で子供がインフルエンザ発生→東京で働く親がインフルエンザ予備軍であることがわかりアラートを上げられる。

 

 

フェーズ⑤:収集されたデータをもとに、病気を患う予備軍を事前に検知、従業員の健康維持に貢献した分の収益を得る。

 

 

フェーズ⑥:これまで得られた知見・ノウハウ・技術を他社に販売。

ex.テスラがバッテリー技術を他社に販売する。

 

 

いかがでしょうか。

 

 

ただプロダクトイノベーションのみを考えるのではなく、その先にあるビジネスモデルイノベーションを戦略として描いていくと、『IoT』を継続的ビジネスとして考えていく可能性が広がってくる気がします。

 

 

「取引コストの削減」が『IoT』が注目される理由でありテーマです。

 

 

下記のように注目されている 『IoT』も全て「取引コストの削減」をしてくれるサービスという共通点がありますね。

 

 

トイレで健康診断データをクラウドに載せて自動で健康診断できるヘルスモニタリングサービス

jp.techcrunch.com

 

 人同士が会わずに鍵をシェアできるスマートロック

qrio.me

  

人工知能搭載のサーモスタットと火災報知機

nest.com

 

  

これらの『IoT』も単なる使い勝手の勝負からビジネスモデルの勝負へ考え方をシフトしていかないと継続的な成長は見込めないでしょう。

 

 

最後になりますが、ここに記載したことは、この勉強会で学んだことです。

 

iotrial.com

 

 もし私のように『IoT』について知見を深めておきたいという方をチェックしてみると良いかもしれません。